今、メーカーや卸・小売りなどあらゆる業種形態で、物流のアウトソーシングが進んでいます。企業の物流業務をトータルに請け負い、最適なロジスティクスソリューションを提供するのが、サードパーティロジスティクス(3PL)です。私たち日立物流は、「顧客サービスの向上」、「物流コストの低減」、「市場競争力の向上」などをお客様に提供することを第一に、ロジスティクスソリューションの第一線で活躍しています。
2007年1月、日立物流は、化粧品・健康食品メーカーである「ファンケル」様から庫内運営業務を受注。商品の鮮度を大切にする「ファンケル」様にとって、鮮度管理と顧客ニーズを両立できる物流体制を維持しながら、従来の複数物流体制を整理・再構築するという難しい課題を抱えてのアウトソーシングとなりました。ここでは、日立物流が3PL事業をどのように進めているのか、この「ファンケル」様のケーススタディで紹介していきます。登場人物は、このプロジェクトに関わった営業の城島部長補佐、LEの伊藤主任技師、そして営業所の赤羽所長です。このプロジェクトストーリーを通して、私たち日立物流の仕事の理解を深めてください。
プロジェクトメンバー
営業

LE

営業所

私が一番重視しているのはお客様視点で物事を考えるということです。今回はお客様の仕様書を現場運営のプロの目で検証し、更に良い運営案は考えられないか、実運営に落とし込んだ際に計画通りの効果が得られるのか、効果を最大限に高めるにはどのエリアでの運営が望ましいか、等であったと思います。また、お客様自身がノウハウを蓄積し、次ステップに繋げるという目標もお持ちであった為、物流コストの積算に関する条件は極力オープンとさせて頂きました。これにより、両社の垣根が取り除かれ、対等の立場で真剣に議論ができたと考えています。この点がお客様が任せても大丈夫だと思われたポイントではないでしょうか。後になっての話ですが、当社選定に繋がったポイントとして、見学現場での整理整頓の行届いた姿、また実際の見学現場を立上げたスタッフが今回のプロジェクトに参画し、立上げまで責任をもつ姿勢、との有難いお言葉を頂きました。
LEとはロジスティクスエンジニアリングのこと。つまり、お客様ごとの物流センターの設計や空調、ラックなどの設備の導入、庫内作業の運営・合理化などの物流の技術関係全般を行う仕事です。新規案件や顧客獲得のための提案、営業と連携しながら省力化を進めるなど、収支改善にも関わっています。実際の現場作業をイメージして設計などに反映するためにも現場で自ら作業することが重要です。
営業所(現場)は、実際にお客様へ物流サービスを提供するセクションです。言い換えれば、営業・LE・IT・現場が築き上げた物流システムを実践して磨きをかけて行く場です。常に日立物流の顔となり、お客様が抱えている問題を解決し信頼向上に努めると同時に未開発分野の開拓を行っています。一方、日頃から改善意識を持ち、改善活動を実施して業績拡大やサービスレベルの向上を図っています。その他にグループ会社等の管理・監督や、事業に必要なインフラ整備も営業所の仕事です。最近では国内・海外といった垣根のないグローバル物流の実践にも力を入れております。
コンペ参加から受注までのストーリー
ファンケル様が物流アウトソーシングを決断した背景
化粧品の通信販売より事業を開始したファンケル様は、取扱商品を健康食品、発芽玄米、雑貨などに拡げる一方、販売チャネルも通販から店舗、流通(量販店・コンビニエンスストア)、海外へと順調に事業を展開させてきた。通販チャネルでは直接エンドユーザーに商品をお届けする為、安全・品質の観点から自社物流での展開を図り、通販向けマテハン(マテリアルハンドリング)設備の導入も図ってきたが、雑貨など化粧品・サプリメントとは荷姿が大きく異なる商品の出荷業務やその他チャネルでは、一転 物流各社の強みを活かし、全て物流業務をアウトソーシングする戦略を採用した。日立物流もファンケル様のコンビニエンスストア事業への展開に当たり物流業務を委託されている。
ところが、取扱品種の増加や販売チャネルの拡大は一方で在庫拠点の分散という弊害を生み、全体在庫量の増大とともに、先入先出のコントロールを困難なものにしていた。また、通販開始より10年以上が経過したマテハン能力もピーク時には十分な能力を発揮できない状態が起き、将来を見据えた物流改革は緊急の課題となっていた。
『新鮮、つくりたてをお届けする』のサービスコンセプトに立ち返り、 これからの物流について最適な仕組みをつくるため、2006年に新物流センタープロジェクトが発足。物流拠点の再編を含む物流改革が動き出した。

城島忠浩談私が一番重視しているのはお客様視点で物事を考えるということです。今回はお客様の仕様書を現場運営のプロの目で検証し、更に良い運営案は考えられないか、実運営に落とし込んだ際に計画通りの効果が得られるのか、効果を最大限に高めるにはどのエリアでの運営が望ましいか、等であったと思います。また、お客様自身がノウハウを蓄積し、次ステップに繋げるという目標もお持ちであった為、物流コストの積算に関する条件は極力オープンとさせて頂きました。これにより、両社の垣根が取り除かれ、対等の立場で真剣に議論ができたと考えています。この点がお客様が任せても大丈夫だと思われたポイントではないでしょうか。後になっての話ですが、当社選定に繋がったポイントとして、見学現場での整理整頓の行届いた姿、また実際の見学現場を立上げたスタッフが今回のプロジェクトに参画し、立上げまで責任をもつ姿勢、との有難いお言葉を頂きました。
物流コンペを開き、アウトソーシング先を決定
まずは8拠点を1拠点に集約することが決定。これによって業務の効率化を目指した。さらに将来の新たな物流拠点構築を見据え、物流の中核的ノウハウを蓄積するため、1社に包括的にアウトソーシングするのではなく、マテハン、WMS(倉庫管理システム)、庫内オペレーションの3分野ごとにパートナーを選定することとなった。これを前提に庫内オペレーションの提案依頼書を当初より取引関係にある物流各社に提示。最終的に日立物流が選ばれたのである。
物流コンペを勝利に導いたプレゼンテーション
プレゼンテーションにあたり、ファンケル様から出された課題は、以下の通りだった。
<現状の物流が抱える課題>
- ● 物流拠点の集約化
- ● チャネル毎に在庫を持っていたため膨れ上がっていた在庫量を削減したい
- ● サービスコンセプトをさらに強化するため、翌日配送の締め切り時間を延長したい
- ● 繁忙期でも出荷残を出さない体制作り
- ● 誤出荷率を0.005%以下に抑えたい
■物流センターの新設
既存倉庫のスクラップ&ビルドを行い、北柏地区の事業強化に繋がる新物流拠点を建設する。新物流拠点の最大顧客としてファンケル様を迎え、事業運営に最適な環境(環境・条件・価格) を提供する。
■物流センターの「見せる化」
提案拠点はファンケル様の化粧品工場である千葉工場より10km圏内に立地。ファンケル様のCSR活動の一環として、多くの見学者受入が可能な環境をご用意する。
最終選考段階ではお客様が新物流センターで実現させたい具体的な計画の提示があり 日立物流は運営側として実現力が問われている。日立物流はこれまでに行なった様々な運営実績より、計画に類似する業務をプロセス毎に分解、能力を精査し、お客様の目からも分かりやすい運営計画を最終提案。
日立物流のこうした取組みにより、センター集約効果が最大となる計画の詰めを選考過程において 検証することが可能となった。


通常、私たちLEはマテハンも手がけていますが、今回のプロジェクトではお客様がマテハンメーカーを選定することになりました。しかし、1次コンペの時点では決まっていなかったため、マテハンの自動化を提案。デジタルピッキングシステムを採用し、物量を考慮した上で、ライン数とマテハン台数の割り出し、検品や梱包といった作業の流れ、設備、コストを検討。これを、営業が割り出した作業員数とすりあわせ、全体の骨子を固めていきました。重視したポイントは、システマチックに荷物を流すだけではなく、緊急避難的な手作業の対応を盛り込んだことです。マテハンの処理能力を超えた場合の対応を、当社のノウハウを活かしながら提案させていただきました。今回の提案においては、当社の運営のノウハウや作業のノウハウが大きく評価されたのだと思います。そして物流センターを新築する点も 評価が高かったのではないでしょうか。空調や床の防虫塗装など、様々な倉庫の仕様への要望に応えるには、新しいからこそコストを抑えることができたといえます。お客様の要望に応え、かつコストを抑えて提供ができたことが成功の要因だと思っています。
まずは営業が作ったたたき台を元に、「希望地に1万坪クラスの倉庫はないから新たに建てよう」「従業員数や人件費はこれくらい」ということを現場、営業、LEが話し合い、お客様に提案。従業員数や人件費については、現場の方が生産性を肌で感じていますし、収支計画は現場が責任を持っているので、営業やLEが作ってきたものをシビアに精査しました。 1次コンペ通過後には、物流センターの仕様を、再度LE、営業、現場で検討。LEは、現場、営業、そしてお客様からの要望を盛り込んだ設計図のたたき台を描き、それを元に、ラックの接車場の数や、構内の動線、昇降設備の仕様など、 現場ならではの要望を提出しました。LEはその要望に対してコスト面を考慮し、設備を取捨選択。ここまで決まってから新倉庫を社内で提案し、建設がスタートしました。今回お客様に評価されたポイントは当社の3PL実績と立地条件でしょう。現状の8拠点を集約するためには、それだけ大きな倉庫が必要となるし、流山にある千葉工場に近接、交通の利便性も良く、 地価も比較的安いという条件に当営業所が最適だったのではないでしょうか。そして忘れてはいけないのが、営業の情熱でしょうね。当営業所まで何度も足を運ぶ姿勢に、現場を大切にする気持ちを感じました。お客様にもそんな誠実さが伝わったのではないでしょうか。

お客様が策定された改革の骨子を実現する為、さまざまな課題や要望に応えることが求められるなど、課題は多くありましたが「この仕事がしたい」「成功させたい」という想いが提案内容となり、また関係者の協力によって今回の受注に繋がったと思います。
プロジェクト日程
- 2006年 3月物流改革が社内で先行的にスタート
- 2006年 7月コンペの話が持ち上がる
- 2006年 8月【第一次】コンペ説明会
- 2006年 9月【第一次】プレゼン実施
- 2006年10月一次コンペ通過通知
- 2006年11月【第二次】コンペ説明会
- 2006年12月【第二次】プレゼン実施
- 2007年 1月提案条件等の変更に伴う料金再提案の実施
- 2007年 2月正式承認
営業、LE、営業所(現場)の3人が語る日立物流の求める人物像
営業

LE

営業所(現場)

日立物流は『物流会社』であり、原点は運営現場にあります。お客様に満足して頂く現場とは何か、実際の現場とは何が違うか、自身の目・肌で生の情報としてインプットすることが大事です。入社後は短期間ではありますが、現場を経験して頂く事になると思います。現場での経験を貴重な財産として蓄積することができ、また多くのことに積極的に関わりを持ち、自分を成長させることに貪欲な人、そんな人物を求めています。
倉庫の建設から作業の改善まで、大小さまざまな仕事に取り組んでいる仕事ですので、いろんな仕事に貪欲に興味や疑問を持って取り組む姿勢が求められます。また、CADで図面を描くことなら誰にも負けないとか、Excelでデータを分析するのが得意だ、というように何でもいいから特技を持っていれば、それをベースにしていろんな仕事ができるようになるのではないでしょうか。
現場で求められるのはフットワークの軽さ。机上論で物事を考えるより、まず現場を見るなど、現物主義で物事を考え、言葉より行動力のある人材が活躍できる職場です。また、即断・即決・即行動が求められる機会が多いので自分で考え、自分で行動できる!能動的な人材が求められます。さらに大多数の人と共に仕事をするので、思いやり、協調性、コミュニケーション力も必要です。文系、理系は特に拘りません。グローバル物流への対応から、これからは語学力も必要になってくると思います。
